保険治療で使用する金属は12%金が入っている金銀パラジウム合金という金属です。

歯科で使用するベストな金属は金が約83%は入っている20Kといわれる金合金です。

冠なりインレーと言われるつめものを作るためには加熱、溶融し成形します。このために金だけでは作れずまぜものをします。歯に挿入したときの歯とつめもののマッチング(適合性)は20Kにかなうものはありません。

では、なぜ保険治療では、20Kを使えない、いや使わないのでしょう。

それは勿論価格です。しかし、昔安価だった保険用パラジウム合金は、パラジウムの高騰により30年前の3倍以上の価格になっています。これは、パラジウムをIT製品に使用するようになった、原産国が出し惜しみしてる、などの理由があります。

健康保険で使用する材料なのに、国は価格には介入しません。

価格が高騰しても、歯との適合性はかわりません。正直、自分の口には、パラジウムは入っていません。これはどの歯科医の口の中でも同様です。

自分がしてほしくないことを、患者さんにする、これはおかしなことです。

なので、パラジウムを入れないためにも虫歯を作ってはいけないのです。

ある統計で46歳で多くの方が6才臼歯に神経をとる治療を受け、その後60才後半でその歯が失われる(抜歯)というデータがでています。

よく昭和46年頃の日本とフィンランドの比較がでてきます。

どちらの国も「虫歯が多くこれからどうしていこう。」というような論議がおきていました。その決断が日本が治療、フィンランドが予防の道を選びました。

日本には多くの歯科大学が創設され、治療優先の道が選択されました、これは現在も同じで基本 予防は保険治療で行うことはできません。

それに対して、フィンランドでは一生懸命歯を削らないような道を選択しました。

その結果現在1人あたりの虫歯保有本数において両国の間におおきな差ができてしまいました。

私たち歯科医は、必要のない治療行為をできるだけ減らしていきたいと真剣に考えています。が、一方患者さんは、面倒くさい予防よりは安易な治療を選択してしまいます。

これは本当に嘆かわしいことです。虫歯の進行状態を定期的に観察していけば、予防できる歯を放置して2年後「穴があいてしまい、治療に至る。」

どの歯科医の先生も経験していることです。

これは日本の教育制度にもよるかもしれません、現状中学入試があたりまえになり、夜遅くまで塾に通う、歯科医を受診する暇がないどころか、食事に時間もおそくなり

虫歯予防どころか積極的に虫歯を増悪させてしまうような状況がおきている現状です。

虫歯はばい菌により起こります、ばい菌が繁殖すれば、虫歯を起こすばい菌以外も当然増えます。歯肉に炎症を起こすようなばい菌も増えるでしょうし、胃潰瘍の原因となるピロリ菌も口から消化器に流れていくといわれています。

子供のときに虫歯をおこさないような口の環境を形成することが、一生の健康につながることは間違いありません。

投稿日:2020年1月21日|カテゴリ:お知らせ